嘘吐き
ーーーーー翌年の7月
あたしたち二人は小さな教会にいた。
今日は結婚式。
招いたのはお互いの家族だけだ。
涼のご両親は、話に聞いたとおりとても真面目な人だけど、思ってたより話しやすかった。
「結婚するなら6月にすればちょうどいいのに…」
控え室で、花婿姿の涼が口を尖らせながらそう言った。
「いいの、だって今日は涼と出会った日なんだもん。
それより花嫁姿がかわいいとかって言ってくれないわけ?」
「はいはい、可愛いですねぇ」
あたしのことさっきからちゃんと見てないじゃない…
「意地悪」
「ごめんごめん。
ホントに綺麗だよ。
ただ…あんまり綺麗だから見ると顔がにやけちゃって」
「バカ…」
顔を赤くしている涼が可愛くて仕方なかった。
「うるさい。
結婚式の前に、こんな会話してるカップルなんてそうそういないだろ」
まったくその通りだ。
私たちには、緊張感という物はないんだろうか。
なんだかおかしくて笑ってしまった。