嘘吐き
「ところで、何があったの?」
首筋を指でなぞりながら尋ねてきた。
結局そうなる。
男なんて、みんなそれができれば満足なんだよね。
だから誰かに期待とかはしない。
「家に入れておいて悪いけど、私、今日はする気ないよ?」
「えー…いじわる」
口とは反対に手は止める気配がない。
「ちょっと」
「それで?」
もう止める気も失せた。
「ああ、拓と別れた」
「どんな振り方したの?」
「いつも通りセックスした翌日に全部カミングアウト」
彼が吹き出した。
「お前、それは無いだろ。
彼、どんな反応したの?」
「ムキになって襲い掛かってきたけど、結局何もしてこなかった」
また彼が嘲笑する。
「まあよかったじゃん。
スッキリしたんでしょ?」
「かなりね」
「じゃあ…」
ソファに押し倒される。
「今の流れは無くない?」
「いいの」
結局また彼に体を委ねてしまった。