嘘吐き
先程来た道をもどり、家に到着。
ドアをあけて中に入れる。
「おじゃまします」
「どうぞ」
中に入るなり騒ぎだす涼。
「え、広い!自分から言っておいてだけど本当に大丈夫なの?」
「親はたまにしか来ないし平気」
とりあえずソファに座らせた。
「服とか、荷物は持ってるの?」
「うん、ちゃんと持ってきた」
旅行にでも来たかのようなテンションだ。
「親は本当に心配してないの?」
「心配するような親なら家出なんてしないよ」
親の話になると急に機嫌が悪くなる。
「全く、わかりやすいな…
わかった。プライベートについては詳しく聞かないから」
そう言うと、ほっとしたのか幼い表情に戻った。
「そんなにわかりやすいと、すぐ騙されちゃうよ?」
「大丈夫。どんなに里奈が上手に嘘吐いても、見抜く自信あるから」
初めて呼び捨てされて、少し変な感覚を覚えた。
「本当に?」
「うん、俺の目は何でも見透かしちゃうからね」
そう自慢げに言うと、じっと見つめられて、あまりに強い眼差しに動けなくなってしまった。