嘘吐き


ーーーー翌朝



今日もあいにくの雨。
これで何日目だろう。
七月までは、あと一週間ほど。



早く晴れないかな…




ベッドから起き上がり服を着ていると、後ろから拓が抱き締めてきた。



「拓…話さなきゃいけないことがあるの」



腕を払ってシャツのボタンをしめた。


「何?別れ話とか?」


まさか
なんて言葉が当然返ってくるとでも思っているのだろうか。

まだ笑いを浮かべる余裕があるみたい。



「そう」


一瞬時が止まった。


「はっ?
本気で言ってんの?」

彼の眉間にシワが寄る。


うわぁ、ムキになってる。
何だか興奮してきてしまった。


「うん、あなたのこと、最初から好きじゃないし」

あまりにも彼がおかしくて、思わず笑ってしまった。

ちょっと調子にのりすぎ?


「お前、ふざけんなよ」


すごい力で壁に押しつけられた。
荒々しい人って嫌い。


顔と顔がつきそうなくらいの至近距離で睨まれる。


「何その目。
好きにすれば?
何にも怖くないし」


「…っ」


彼の腕の力が抜けた隙に、彼を突き放し、カバンをもった。


何もいえず立ちすくむ拓。


結局好きになると何にもできないんだから…
どうしようもない



「あっ…寝てる間に私の連絡先消しといたから」


そう言い捨て部屋を飛び出し、雨の朝の街を傘もささないで走った。
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