嘘吐き
シャワーから流れだす水は、先程の雨とは違い、とても暖かかった。


それがどうも気に入らない。


私に暖かさはいらないから。
私は冷たいままでいたいから。


私の体はすっかり暖まってしまった。
少し不機嫌さを取り戻す。


お風呂からあがり、リビングのドアを開けるとママはいなくなっていた。


多忙な人だ。



久しぶりに手にした一人の時間。


私にはやっぱりこっちのほうが似合っている気がする。



その日以来私は以前のように一人の時間を満喫した。




あの日、あの人に出会うまでは…
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