裏切り黒田アキラ大いにぼやく(上等なヤンキー スピンオフ)
嘘だと思った。

ヘルメットを渡した時に触れた指は確かに冷たかった。

彼女が『今』じゃなくて『かなり前』から外に居た事は確か。

でもそれに触れる事はミサキの本意でないことも確か。

だから聞かない。

聞けない。


「行こうか」

俺はゆっくりとバイクを走らせた。

ミサキの腕がちょうど腹辺りに回されて、それだけで緊張する。

信号待ちする時に腕の力が緩んだり、発進するとまたきつくなったり、

そんな事に翻弄される俺。

そんな事まるで気づかないミサキ。

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