裏切り黒田アキラ大いにぼやく(上等なヤンキー スピンオフ)
ミサキを見なくていいように、ゴソゴソとジーンズのポケットから潰れた煙草を取り出す。

手にした百円ライターをシュッ、シュッと鳴らすが、炎は山腹を撫でる風に消されてしまう。

チッ…。

何度かそれを繰り返していると、スッと桜の花びらみたいな爪が現れる。

「不器用だなぁ。手伝ってやるよ」

細くて白い指が俺の指に微かに重なる。

…あ…。

ほんの一瞬揺れた俺の手。

ミサキが

「…そんなに寒いの?」

と聞いた。
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