愛憎友達
「ゴメン……」

「謝ることじゃないっしょ。俺が気の利いた話とかしないのがいけないんだし。だけど、今この瞬間からいっぱい笑ってな。俺も笑ってもらう努力はするから」

「努力って……。芸人目指してるなら協力するよ」

おちゃらけながら言葉を返す。

「おまっ……。あー、もう!」

「どうしたの?」

いきなり叫ぶ和飛を覗き顔をうかがう。

「俺さ、今日めっちゃ緊張してんの。わかる?」

「わかんない」

朝葉は即答した。

多分朝葉のほうが緊張してると思う。

カッコ良い男の子の隣りに冴えない朝葉がいるんだもん。

緊張だよ……。

「あのさ、朝葉は俺が大好きな女の子なの。その女の子と2人きりなんだよ?一日中。学校とは違うし、つまんなかったらどうしよって思っちゃって結構空回りしてんの」

和飛の顔がだんだんと赤くなっていく。

「わかったよ。じゃぁ、いっぱい笑わせてください」

「覚悟しとけよ。笑うとごころかドキドキさせてやっから」

そう言いながら和飛は飲み物にストローを挿し、中身を飲んだ。
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