愛憎友達
お父さん、という言葉で諦めがついたのか、和飛はあっさりと引いた。

「そっか……。どさくさに紛れて部屋まで入ろうかと思ったのに……」

……そんなこと考えてたんかいッ!!

そう心の中でツッコミつつも、ゆっくりと気持ちを落ち着かせた。

「じゃぁね」

「あぁ、また明日」

別れを告げると、今すぐにでも走り出したい気持ちを抑えながら和飛に背を向け歩き出す。

背後に視線を感じる。

曲がり角のところで朝葉は歩くのをやめ、ゆっくりと後ろを振り返った。
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