愛憎友達
嫌な沈黙が続く。

窓の外からは休み時間を楽しむ声がする。

落ち着かない朝葉は、無意味にケータイをパカパカと開閉させた。

「少しだけ先の話なんだけどさ……」

手遊びを始めた朝葉に和飛がそっと話しかけた。

顔は床を見つめていて、腕を膝の上に置き、手を組んでいる。

「クリスマス……、一緒に過ごせないかな」

和飛の誘いに朝葉は答えずに、ケータイだけをじっと睨みつけた。

朝葉たちは恋人ではない。

それでなくても、和飛のことで嫌がらせを受けているというのに。

今の嫌がらせが続いたまま、クリスマスを一緒に過ごしているところを目撃などされたらどうなるだろうか。

嫌がらせがエスカレートすることなど目に見えている。

ただでさえ和飛を避けてしまっているのに、もっと避けなければいけなくなるかもしれない。

何よりこれ以上、朝葉は和飛といる時間を減らしたくはなかった。
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