一生分の恋
告白
さて、中学に入り私は無気力に過ごすなか、彼女とはクラスも離れ、手紙のやり取りで遊んでいた。

「昨日はこのキャラが良かったよ~」
「あれの新刊出たね」

今となっては内容も思い出せない他愛のない分析の羅列。
小さい紙片に小さい字でびっしりと文字をしたため(もちろん授業中に)休み時間に会って交換。
また授業中に相手の手紙の内容を読み、返事を書いて私に行く…

今思えば最高に下らなくて、贅沢な時間の使い方だった。


それが許される時代だった。


「週末どこか遊びに行こか」

「どこかって?」

「動物園とかさ。」
時の純朴な中学生のお出掛け場所と言えば、そんなもんだった。

「動物園は臭いから行きたくない」

相変わらずのつれない返事にも落ち込まなくなってきた。

マイは誰に対してもこういう人間であり、その自分を貫く姿勢こそが、彼女を彼女たらしめている。

私は客観的に見てもマイにとって一、二を争う友達でいる。


それは独占欲のめばえだった。



中学は近隣の3つの小学校の卒業生が集まっている。当然、人間関係の輪は広がる。私は相変わらずマイにべったりの日々だが…


給食の後の長い休み時間。いつものようにマイに会いに彼女の教室を覗き込む。(そういえば彼女の方からは私に会いに来ない)

同じ趣味のやつがクラスにいたのか…

自分にしか見せないと思っていた満面の笑み…

ねぇ、と思いきって呼んでみる。きっと自分の唇は不自然に醜く歪んでいた…

「今盛り上がってるから」

急に真顔に戻ってこちらへ視線を投げてよこす。

マイの事なら一番知っている。
付き合いも長い。
家に遊びに行った事だってある。


元気いっぱいにふざけ合う男子達で充満する廊下を歩きながら、何個もの「なぜ」と戦いながら。
ふと思った。

こんな子供っぽい独占欲は捨て去るべきだ。

大人の領域に入りつつあるマイに気付かれたら笑われる…!

感情を理性で抑えつけてる。
大丈夫。


最近テレビのニュースなんかでよく聞く話題ではあった。
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