聖男子マリア様 番外編  俺様天使奔走中につき
「ミカちゃん、それじゃ説明じゃなくて、彼女の家に結婚の許しを貰いに行く彼氏だと思う」

「……方向的には間違いじゃない」

「そうだけどさ」


ガブリエルが小さなため息をついた。


「時間がないから行く。それから、ガブ。おまえはヨハネのうちに一緒に行って、頭下げてから、すぐにこっちへ来い」

「あのね、ミカちゃん。ボクはまだ降臨手続きしてないんだけど……」

「ラファエルから『降臨しろ』と伝言を頼まれた。問題はない」

「ああ、そう。それはどうも」


まったく、ミカちゃんったら強引なんだから―。


なんてことをほざいてはいるが、顔の筋肉は緩みっぱなしだ。

コイツは絶対に楽しんでるし、降臨したくて仕方ないのだ。



「じゃ、そういうことで。ヨハネ君、よろしくね。リミット解除云々については、帰ってからゆっくり説明するからね」



そう言うや否や。

ガブリエルはくるりと一回転した。


突風が巻き起こり、机の上のプリントが宙を舞う。
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