聖男子マリア様 番外編  俺様天使奔走中につき
結局、マリアは背中に担ぐことにした。


抱きかかえて走るのも、周りの目が気になる。


別に自分はいいが、天林寺の家の者たちに迷惑は極力かけたくない。


倫理的に。

男性が男性を……と言うのは受け入れられないことが多い。


特にこのあたりのような田舎で、天林寺のような「寺」の経営者にはあまりいい影響とはいえないだろう。


担ぐなら。


友人間でもありうるだろうし。



なんか、気を遣ってばかりいる気がする。




外へ出ると、うっすらと東の空が明るみ始めていた。



7時ころに家を出たような覚えがあるのに、それほどまでに時間が経っていたとは今の今まで気づきもしなかった。



確かに、戦っていた時間を思えば、それくらいは当り前なのだろうが。
振り返る余裕がなかったな。



「私がおまえの面倒は見るから」



呟く声に答えはない。
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