聖男子マリア様 番外編  俺様天使奔走中につき
「あのねぇ……ヨハネ君もミカちゃんも。これってとってもデリケートな作業なんですよねぇ。もう少し仲良く、かつ静かにお願いできませんかね?」


注射器を構えながら、ガブリエルは横目使いに自分たちを睨むように言った。


「すんません」


ヨハネが素直に頭を下げる。



「ミカちゃんは?」



なぜ、自分が謝らねばならないのか。

そんなことより、マリアをどうにかしてくれ。



「はぁ……まったく子供なんだから」



ガブリエルは諦め半分のため息をつくと、気を取り直したようにマリアに向き直る。
それから、左手でマリアの胸の位置を確認すると、一気にその注射器を胸元に突きたてた。



「い……っ!!」


声が漏れそうになって、ヨハネは急いで口を覆った。


そうだな。
これは少し衝撃的な画だな。

自分もガブリエルの腕を知らなければ、黙ってみていることなどできないだろう。


だが、どうしても。
どうしても、ガブリエルが何をしているのかがわからない。



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