聖男子マリア様 番外編  俺様天使奔走中につき
「もう一回言う?」


悪魔さえも黙らせる魅惑の笑みと、声音を持ってガブリエルは言った。


「もういい……」

「ねぇ、ガブ様。リミット解除と真理矢とミカ様ってどんな関係?」

「余分なことは聞かないほうが身のためだぞ、ヨハネ」


横目でヨハネを睨みつける。
これは効果があったらしく、ヨハネは「ほな、いいです」としおらしく引き下がった。


知られてたまるか!!

まったく、上辺は紳士を気取りやがって。
この詐欺師が!!


「ふふ。ミカちゃんも分かってくれたし。それじゃ、時間も勿体ないからね。これをお渡しするよ。気を付けて運んでね。それから、森の妖精ちゃんは……キミにはかーなーり、手ごわいと思うから、心して頼んできてくださいね」

「ややこしくしたのはおまえの責任だろうが……」

「女性とは難しい生き物なのですよ、ミカちゃん」


はぁ……ため息しか出てこないけれど。


それしかマリアを助けられないのだと言うのなら、致し方ない。



そう。
自分はこの男子のためにどんなことだってすると決めたのだ。
迷ってなどいられない。



「待っていろ……私のマリア」


マリアからの返事は勿論ない。

あるのは静かな彼が息をしているという微かな証拠だけ……



「じゃ、天界の門まで送るからね」






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