聖男子マリア様 番外編  俺様天使奔走中につき
「天の森」


天界のはずれにある深い森。

天界にありながら、地の世界に通じる道が生まれる場所のため、一般の立ち入りは制限されている。

そう。
一般の立ち入りは……だ。


役職付きの天使たちには許されている。

その役職を利用してと言うべきか。


あの女ったらしはそこに住む絶世の美女であるらしい妖精にちょっかいを出したらしい。


「まったく……あの大バカ野郎が」


女と見れば即座にくどく。


相手がおちるまで。
それはそれは、骨まで溶けるような甘ったるい言葉を羅列し。

「愛している」だとか。
「かわいい」だとか。
「キミなしではもう生きていけない」だとか。


繰り返し、繰り返し囁いて。
相手の神経をゆっくりゆっくり麻痺させる。


『こんなに愛されているのなら』
『こんなに望まれているのなら』

そんなふうに思い込んで、ガブリエルと関係を結び、恋人になる女たち。


あいつはどの女にも本気だが。


決して命をかけて守るほどに愛する「一番手」は作らない。


それがあいつのポリシーらしく。


そんなことを知らない女の怨みによる暴挙に、自分はどれほど迷惑を被ったかわからない。


そしてまた。


あいつの悪い手癖のせいで、自分がその尻拭いに行かされる。





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