聖男子マリア様 番外編  俺様天使奔走中につき
「あなたに鍛えられたのに。自覚ないのね」


ちっ。
心の中をしっかり読んでるじゃないか。
いい根性してるな、こいつ。


「あの子のことで気が回ってないのね。いつもなら、きちんとフィルターかけるくせに」


ん?

そう言われてみれば。


ヨハネにツッコまれ。
ガブリエルに小言を貰い。
ウリエルにはキレられ。
ラファエルには淡々と告げられ。
マリアには「悪趣味」とかつぶやかれ。
ジジィには苦笑され。


「情けない……」


今の今まで気がつかない自分に嫌気すら覚える。


降臨している時点で、天使の時より心のフィルターが粗いのは確かだが。


壊れたザル並ではないか、これは……


「そんなことじゃ、悪魔にも足元すくわれるわよ」


すでにおまえらにもすくわれているからな。



「……それだけ。あなたが……ということかしらね」


聞き取れないほど小さい声でぽつりとつぶやかれたが、あえて無視する。

聞いたところで自分にとって有益なことだとは到底思えない。
むしろ、聞くだけ疲れが増すだろう。
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