聖男子マリア様 番外編  俺様天使奔走中につき
のはずなのに。


「おい、マリア」

「なにかしら?」


しれっとした態度が腹立つな。


「なにかしらじゃないだろうが!! なんだ、これは!! 翼が一枚しかないではないかっ!!」


自慢の純白の翼が……片方だけしか生えてこない。


片翼の天使など、みっともないというか。
悪魔にナメられるだろうが!!


「私、最初に言ったでしょ? あの子じゃないから完璧にはいかないわよって。だいたい、片翼だけでも生えただけマシでしょ? 人間じゃないってことは相手には伝わるわよ。それとも、リミット解除を解除してあげましょうか? 人間のあなたにこの数はキツイわよ」


その口、今すぐ塞いでやりたい!!


「あなた大天使でしょ? 見せつけてやりなさいよ。片翼だろうが、両翼だろうが。天の軍団の総大将なんだから。それとも、両翼姿じゃないと自信ないのかしら?」

「おまえ、ケンカ売ってるの?」

「喧嘩じゃなくて、闘争心に火をつけてあげてるだけよ」


なんなんだ、この女!!

あれだな。
職務から解放されて、口まで開放しやがったな。


「どうするの? リミット解除、解除する?」


選択を迫る言葉に、迷いがないところを見る限り。
やってみろ。
なんて言葉を投げようものなら、ばっさりと解除するのだろう。


女は。
やはり恐ろしい生き物だ。
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