聖男子マリア様 番外編  俺様天使奔走中につき
ジジィは首をかしげ「大バカ者」と言った。

「大……っ!?」

「おぬしにとって、大事なのはなんじゃ?」

反論しようとする自分の言葉をさえぎるようにジジィは言った。


大事なのはなんだと聞かれたら。
それは一つしかない。


「時間がないと分かっておるのに、そんな無駄な動きをするつもりでおるのかぇ?」


冷水を浴びせられたような気分になった。


「そうだった……」


やみくもに探し回る時間などない。

ならば、無理やり吐かせれば……


「吐くと思うのかぇ?」


ジジィの視線は女に向けられていた。


凍てついた瞳が物語るもの。

それは。


「ほんに似た者同士だのぉ」


というジジィの一言に反吐が出そうだった。


だが、似ていることは間違いがない。


頑なに閉ざされた心。
こじ開けることも。
鍵を差し込むことも許されない。
許さない瞳。



「条件を出してもらえるだけ、いいじゃろうが」


と、ジジィは笑った。
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