聖男子マリア様 番外編  俺様天使奔走中につき
「消えるかもしれないと言われたのになぜ笑う?」

問いかけにジジィはまた首をかしげた。


「おかしなことを言う坊主じゃのぉ。おぬし、わしの『マブダチ』じゃろうが。『マブダチ』が『マブダチ』を信じなくてどうする?」


『マブダチ』『マブダチ』連呼するな!!
だが……そうだな。


その言い方。
その呼ばれ方は悪くはない。


「覚悟はあるのだな」

「覚悟なしじゃ、おぬしのような天邪鬼には付き合えんだろうよ」


口のへらないジジィはそう言って、ニッと笑って見せた。


マリアの心に似ている気がする。
いや、このジジィや他の天の戦士たちがアレをそのように導き育てたのだったな。


「いいだろう、女。その条件、受け入れてやろう」


返答に女は「アラダ」と言った。


「私の名前はアラダ。女呼ばわりは不快だわ」

「名を『ガブリエル』に聞き忘れたのでな」

『ガブリエル』と言う名にアラダと名乗った女は露骨に嫌な顔をした。


「なんなら、すべてのことが済んだ後、ここへ派遣してやるぞ」

「……片翼が……」
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