聖男子マリア様 番外編  俺様天使奔走中につき
「時間は十分に与えてやったぞ、マリア。そろそろ頼みたい」


『あんなんじゃ集中できないわよ』とかなんとか無駄口を叩いているものの、マリアの祈りの時間はなんとか終わったらしい。


こんな面倒な作業。
アイツが覚えられるわけもない。

やはり、アイツのリミット解除は手っ取り早く、理にかなっているな。


「行くわよ、ミカエル」


感心している間に、マリアがゆっくりとその手から剣を抜き出した。


赤々と燃える炎の剣。


アイツの剣からしてみれば、その勢いはひどく乏しいものだが、それでもこの武器と言えるかどうかさえ分からないものに比べたら、雲泥の差なのは誰の目からも明らかだ。


「協力、感謝する」


剣を渡し、背後に隠れるように立つマリアに向かってそう言った。


他意があるわけではない。

ただ、素直に。


今は謝辞を述べたかった。



「らしくないけど……悪くないわ」



マリアがそう言って笑った気がした。
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