聖男子マリア様 番外編  俺様天使奔走中につき
月が山の陰に隠れようとしている。


時間がない。


こんなところでこんな輩にかまっている時間などないのに!!



「きゃあっっ!!」


マリアの叫び声に目だけをそちらに向ける。


アイぺロスの手がマリアの首を捉え、締め上げているのが微かに見えた。



「ふはははははっ!! これは手柄だ、大手柄だ!!」



興奮したアイぺロスの声に苛立ちはより一層深まるのに、自分の体はまったく言うことを聞かず、微塵も動く気配がない。


くそっ。


やり遂げたいことがある。
やらなければならないことがある。


プライドも地位も、そんなものがあることで自分のなしたいことができないというのなら、そんなものは捨ててやる!!


だから、主よ!!


私にアレを守るための力を、今ここに!!
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