聖男子マリア様 番外編  俺様天使奔走中につき
口の中が切れたらしい。
血の味がする。


天使でも傷つけば血ぐらい出るが。


コイツ、思った以上にパワーがある。


「誰に手を上げたか、覚悟の上でやってるんだろうな、ヨハネ?」

「は? 天使とかそんなん関係ないやろ? そいつはオレの親友(ダチ)なんやから。天使とかなんとかそんなもん知るか!! たわけが!!」


さっきから。
この言葉遣いはなんなのだ。

「その口のきき方は気に喰わない」

「オレは真理矢やないから、おまえにへつらったりせぇへんよ」


どうやらあっちも譲る気はないらしい。

面倒な輩だ。


「後で泣きごと言っても聞かないからな」

「そりゃ、おまえにまんまお返しするわ」



「はい。そこまでよ、お二人さん♪」



緊迫する自分とヨハネの間に突如として緊張感のまるでない声の主が割って入った。


見慣れた白金の髪。
見慣れた青い瞳。
スラリとした細見の男は、自分と天界で肩を並べる大天使。





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