聖男子マリア様 番外編  俺様天使奔走中につき
『たつろう』の体がふわりと宙に浮くのを見て、自然に笑みがこぼれた。


七色の光が彼と並べられた骨を包み込む。


それは一瞬の出来事。


瞬き2回ほどしてみてみれば、そこには楽しそうに駆け回る一匹の雑種と、顔をほころばせ、彼を抱きしめようと駆け寄る老人の姿があった。



「やったわね」


マリアがほほえましそうに彼らを見つめ、そうこぼした。


けれど、そう喜んでいられる時間はない。


この先に待っている人間が二人いる。


いや、正確にいえば一人は霊魂だけれど。



「喜んでいるところ申し訳ないが、オダケン。あなたには付き合ってもらわねばならない」


抱き合って喜ぶ老人とたつろうが、その声に反応するように振り返った。



「分かっておりますよ」


オダケンは静かに立ち上がり、「お役に立てますかな」と尋ねた。



「ああ、間違いなくな」



前を向く。


倒木で塞がれたはずの道が姿を現していた。



輝く七色の光の道に吸い込まれるように自分たちは入った。
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