聖男子マリア様 番外編 俺様天使奔走中につき
目の前に棘にその身を締め付けられたジジィの姿があった。
ジジィはやってきた自分たちを今にも閉じてしまいそうなほど細くなった瞳で確認すると、うっすらと笑った。
「遅かったのぉ。死ぬかと思ったわぃ」
いや、すでに死んでいるだろう。
とツッコミそうになったが、止めておいた。
誰の目にも彼が限界であるのは明白であったし、そんな軽口をたたく余裕があるのなら、一刻でも早くあの棘から開放してやらなければという想いが働いた。
「時間ギリギリね」
漆黒の髪を振りはらい、アラダは不機嫌な顔をこちらに向けた。
「おまえが差し向けた刺客だな」
アラダを凝視する。
アラダは片方の口の端を上げ、喉を鳴らすように笑った。
「でも、倒してきたのだろう?」
負け惜しみなのだろうか?
こうなると分かっていないとは思えない。
それに……
「刺客ならなぜもっと上位を差し向けなかった? あれで自分たちを討てると思ってはいないだろう?」
本気で自分たちを殺すつもりであったのなら、ネビロスやアイぺロスのような中級悪魔を使う必要はなかったはずなのだ。
でも、上級種を使わなかった。
そこになにかある……ということか?
ジジィはやってきた自分たちを今にも閉じてしまいそうなほど細くなった瞳で確認すると、うっすらと笑った。
「遅かったのぉ。死ぬかと思ったわぃ」
いや、すでに死んでいるだろう。
とツッコミそうになったが、止めておいた。
誰の目にも彼が限界であるのは明白であったし、そんな軽口をたたく余裕があるのなら、一刻でも早くあの棘から開放してやらなければという想いが働いた。
「時間ギリギリね」
漆黒の髪を振りはらい、アラダは不機嫌な顔をこちらに向けた。
「おまえが差し向けた刺客だな」
アラダを凝視する。
アラダは片方の口の端を上げ、喉を鳴らすように笑った。
「でも、倒してきたのだろう?」
負け惜しみなのだろうか?
こうなると分かっていないとは思えない。
それに……
「刺客ならなぜもっと上位を差し向けなかった? あれで自分たちを討てると思ってはいないだろう?」
本気で自分たちを殺すつもりであったのなら、ネビロスやアイぺロスのような中級悪魔を使う必要はなかったはずなのだ。
でも、上級種を使わなかった。
そこになにかある……ということか?