聖男子マリア様 番外編  俺様天使奔走中につき
「ガブリエルにいつまで囚われている気だ?」


アラダが上位を差し向けられなかったこと。

これは間違いなくガブリエルへの未練からだと思う。
本当に自分たちが討たれでもしたら、ガブリエルは間違いなく、この女を瞬殺するだろう。

ヤツの怒りは買いたくない。
けれど会いたい。

ならば、ギリギリの窮地に追い込めば、ヤツが『助けてやってほしい』と懇願に来るかもしれない。


などと浅はかにも思ったのだろう。


けれど、自分は知っている。


そういうヤツではないのだ、ガブリエルというのは。


それに、ガブリエルがなぜこの女から離れたのか、それも分かるのだ。


「おまえに何が分かる!!」


アラダが声を荒げた。

女とはヒステリックで困る。
感情のまま言葉を吐き、感情のままに行動する。

ほら、ヤツの手が棘をむしり取り、鞭のようにしならせた。


その棘の鞭がまっすぐに自分に向かって放たれる。


ビシィッッ!!


派手な音とともに、庇った右腕が鞭によって傷つけられる。

棘の棘が肉に食い込み、皮膚を割いていく。


さっき、テンシンの力で治癒したばかりだというのに、また血まみれだ。
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