聖男子マリア様 番外編  俺様天使奔走中につき
「くぅ……うわぁぁぁぁ……」


アラダはしがみつくように背中に手をまわし、胸の中で声をあげて泣いた。

その頭を撫でながら、ふわりと羽根で包み込む。


泣けばいい。

我慢してきたであろう、その時間を思い出に変えるために。




かつて自分がそうやってガブリエルにしてもらったように……




ふとアラダを見る。


足元から白い泡のようなものが立ち上る。



それはアラダの全身に広がり始める。



「ありがとう、ミカエル」



アラダがゆっくりと背中にまわしていた手を解いた。



「消滅が始まったのか?」


自分の問いかけにアラダは小さく頷いた。



「時間がないわ。これを……」


そう言うと、彼女はいつの間に出したのか、細かい彫刻の施された青い小さなグラスを自分の手に握らせた。


「命の雫をそこにそそぎ、それを飲ませて。そうすれば、助かるわ」
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