聖男子マリア様 番外編  俺様天使奔走中につき
純粋なる魂の涙から生まれるとは言っていた。


泣け。



とでも言ったら泣けるのか?

いや、そもそも相手を想って泣くことが条件ではなかったのか?



ちらりとオダケンを見る。



こちらをじっと見つめ返すオダケン。

目を見ても潤む気配なし。


泣かすのか?

誰が?


自分が。


無理ありすぎるだろう、それは……



「何をいつまで言っているのです」


嫌な声が背後で響いた。


出来るなら聞きたくなかった声に、自然に顔が苦くなる。



「ラファエル様」



マリアが丁寧にお辞儀をする。


何しに来たんだ、コイツは。
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