聖男子マリア様 番外編  俺様天使奔走中につき
「手伝ってあげましょうか?」


それはそれは丁寧にラファエルは言った。

今、なんて言った?

手伝う?

誰が?

おまえが?


自分を毛嫌いしているおまえがか?



「そろそろ誤解を解く頃だと思いましたしね」


誤解?

なんの誤解だ?

自分に対しての感情か何かだろうか?




「いい加減、こっちを向いて話をしませんか? ミカエル」



名指しされた。

振り向きたくないが、礼儀云々を説く以上、無視はできない。



「手伝うと本気で思っているのか?」

「証拠を見せたほうがいいですか?」


単眼鏡の向こうの瞳が射抜かれんばかりに鋭くこちらを見つめている。


「見せてもらえるのならば」


そう答える自分に、ラファエルは上衣の内側から一枚の紙を差し出して見せた。


「これでいかがですか?」


受け取った紙に目を通してから、もう一度ラファエルを見た。


「おまえが申請したのか?」

「私だけではなく、ウリエルとガブリエルもです」
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