聖男子マリア様 番外編  俺様天使奔走中につき
「確かに私は反対しました。あなたのやっていること自体、気が狂っているとしか思えなかった。本来女性であるべきものを男性にしたことに憤りもありました」


狂っているって。
言い過ぎだろうが。


「私はね、なんでも一人で抱え込むあなたが大嫌いです。聞けば、ガブリエルにも相談しなかったと。私は悔しかったのです。同僚である前に、私はあなたの友人でありたいと思っていたのですから」


ラファエルの言葉に、返すものが見つからなかった。


胸がズキッと痛んだ。


なぜだ?
なぜ痛むのだ。

ラファエルが友人でありたい?


おまえこそ、どこかにネジを落としてきたのではないだろうか?



「今すぐに信じろとは言いませんよ。でも、私もウリエルも少なくともあなたの敵ではないということです」

「敵?」

敵だなんて、思っていたのだろうか?



いや、信じられないモノはすべて排除していたのだ。


そう思われるのも当然のことだ。



好かないヤツらだとは思っていた。


これは間違いない。



「さぁ、時間がないでしょう。行きなさい。それとガブリエルに『このまま降臨なさい』と伝えてください。どうやら、アスタロスの負傷で、向こうもやる気になっているようですからね。私たちも準備に入らねば」


そう言うと、ラファエルはくるりと踵を返した。
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