百物語骨董店
フランス人形と目があった途端

私の背筋に寒気がはしった

私は今何に巻き込まれているのか

突然現われた店
古ぼけたワンピース
美しい店主
喋るフランス人形

店主に恋焦がれている
ずぶ濡れの女

この世のものでない女


ふつうじゃない

狂っている狂っている狂ッテイル!


「いやっ!来ないで!」私は残り少ない体力であとずさった


「やっと戻ってきましたね」

店主は美しい。ただその美しさが私には恐ろしいのだ
声もでない
体がガタガタと震える

店主が私に すっ と手をかざして言う

「大丈夫。今起こっていることはウタカタにすぎない」

体の震えがとまる

「あなたは助かりたいのですね?」

助かりたい
優に会いたい

私は死にたくない

「死にたくない…助けてください!」


店主はニッコリとして言った

「よく、言った」

あなたを助けてあげる

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