百物語骨董店
それでもワンピースに憧れる娘達

洗いざらして

洗いざらして

純白には戻らない
― 今は。

チャコールグレーの
ワンピース



「夜になれば現われる。あなたはこの刃物を口にくわえておいて」

店主は光る銀のナイフを私に手渡す

「大丈夫、今回はすぐに終わる。何かあれば私の影が守ってくれます」


私の前に置かれるフランス人形


青い目がギロりとまわる

「あなたは一体何者なんですか?」

私は尋ねる

「見たでしょう?しがない骨董品店の主ですよ」
店主は無表情で言う


そろそろ夜の帳がアパートを包み始める

部屋の中心にはワンピース
徐々に薄暗くなってくる

部屋の電気をつけようかと思ったその時


「…クルゾ」

フランス人形が
言った


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