百物語骨董店
「見ているさ…

またワンピースに戻れば
私の店にずっといることができるぞ」

…ワンピースニモドレバ
「私が老いぼれて、私が死ぬまで。死んで土に戻るまで」

…イテモイイノ

「望むままに」

…ズットイッショネ

「そうかもな」


美しい店主がにっこりと微笑んだ


…アァ ウレシイ


女は


消えた


「もう 済んだよ」
店主は私の口から銀のナイフを抜き取りポケットにしまった

私は涙がとまらなかった
恋しくて
たまらなかった

女の気持ちだけが
私の中に残ってしまったような

不思議な感覚だった

私は言った


「ワンピースを引き取ってください」


美しい店主はうなずいた最後まで店主は

とても美しかった

店主は後日請求書を家に送る、と言って帰っていった

最後に聞かれた

「玄関に盛り塩をするのは誰の教えですか?」


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