百物語骨董店
「またあしたね」

タケルは夕焼けに眩しい土手で手をふった

肩がちぎれそうなくらい手をふってみた

タケルは学校が好きだ

みんなに会えるから

…でも

タケルはこの街に引越してばかり

まだ友達はいない

おかあちゃんとおとうちゃんが仲違いをして

タケルの家族はばらばらになってしまった

僕がおかあちゃんを守らなきゃ

そう思い、おとうちゃんの田舎から出る決意をしたけれど

綺麗に塗装された校舎

ラバーで舗装された校庭
それらはみんな冷たく見えて
タケルはまだ、クラスメートに声をかけられないでいた


真っ赤に照らされたアスファルトをとぼとぼ歩いて帰り道

ふと

目の前には一軒の古ぼけたお店

あれ
道、間違えたかな

少し引き返してみた

…間違ない


いつもはまっすぐ続く道のど真ん中に

その店は立ち塞がっていた


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