百物語骨董店
「僕のお小遣いを全部あげる、何でもするよ!」

欲しい

どうしても 欲しい


「お代はけっこうです。ただ返品される時はそれ相応のものを頂戴致します」


これをもらえるの


猫を

黒い猫

「もらっていいの?」

タケルは恐る恐る尋ねた

「ただし」

店主は言った


「約束を守ってもらいたいのです」


猫に名前をつけないこと

美しい店主はタケルにそう、言った


そんな簡単なことで


自分のものになる


「僕、必ず守るよ」


黒い猫はもう僕のもの


タケルは黒い猫を握り締め
厚い木製のドアを押して店をでる


チリンチリン


「どうぞ、ご贔屓に」


手のひらの猫が

にゃあ

と小さくないた


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