百物語骨董店
智子も私も



お互い一人暮らしだし
(お互い寂しい身だし)

助け合うのが
私達のポリシー&ルール


お粥を作りに
智子んちを訪ねた


しかし
具合は思ったより
悪かった



熱は39.8度


私が行った時には
うなされていて
意識も朦朧としていた



危ないと
思った私は


救急車を呼んだのだった


智子を診断した医者は

問題ない、直に熱も下がるだろう と言ったので

ほっと
胸を撫で下ろしたが



「ところで、あの人、とは恋人かなにかのことですか」


と気になることを
聞いてきた


問うてみると
智子は


アノ人ニ会ワナケレバ…
アノ人ニ…



と うわ言のように
繰り返しているらしい




あの人


智子には恋人も
好きな人もいない


それは私だから
知っていることだった


…誰のことだろう



まさか


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