百物語骨董店
色白な細面
色素の薄い瞳に対照的なぬれたように漆黒の髪
ほんのり赤い唇

女のような顔立ちだ

こんな人がもし街を歩いていたら女達の注目の的だろう

「それに魅了された女性はあなたで4人目ですよ」

「これをください!おいくらですか?」

私は無性にワンピースが欲しくてたまらなくなり美しい店主に尋ねた

店主は切なげな瞳で私を見る

「残念ですが。これは売らないことにしているのです」

非売品ということか。しかし今店主は、魅了されたのは私で4人目だ、と言ったはずだ

「今、4人目って言ってたじゃない!売ったってことでしょう?

私は半ば泣きそうになりながら店主にすがった

なぜだろう、ほんの数分前に見たただのドレスを―

「皆、そうしてあのドレスを手に入れたがる。それなのに約束を守れない」

店主は先程見せた切なげな表情とは逆に
無表情で私を見た

私はゾッとした

表情のない爬虫類に見つめられているような
そしてそれはとても美しい。ゾッとする美しさだ

「約束は守ります」
手に入れる為なら―


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