百物語骨董店
病院の帰り




辺りは夜の帳が
おりはじめ




夜道の帰宅になってしまった




今日は満月


なんだか
…赤い月



なんだか不吉な月だ




こんな日は
はやく帰ろう




私は帰り道を急ぐ




落書きのされたトンネルをくぐり



張り紙が破られた電柱の角を曲がる

…あれ



…何かおかしい
さっきから同じ風景を何度も見ている



目の前には
落書きのされたトンネルの入口



一体
何度目だ?



キツネにでも化かされているのか?


ソレトモ



ゆめを見ているのか?



それでも私は
そのトンネルをくぐらなければならない
…妙な脅迫観念


張り紙が破られた電柱の角を曲がる



すると
そこに



古ぼけた
洋風の

一軒の店が
立ちはだかるように


たっている


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