百物語骨董店
代金も払わずにこんな素晴らしいワンピースを手に入れた

私は物欲を解消できた満腹感と幸福感で満たされていた

こういう時、女という生き物はとても幸せ―

お気に入りのソファにドカッと座ると心地よく体が沈んでいく

しかし、疲れた

自然と今日手に入れたワンピースの包みに目がいってしまう


― そういえば


約束事があった


はじめ、できるだけ早いうちに白い和紙にワンピースを包んで上から軽く塩を振り、風通しの良いところに最低丸一日置いておくこと

必ずその後に袖を通すこと

なぜ
どうしてそんなことを?

約束は必ず守りますと、勢いよく約束はしたものの

―なんだか面倒臭いな
と思いはじめて

たかが服だし、約束なんて守らなくてもばれない
というさぼり心がでてしまい、私は約束事を後回しにすることに決めて

その日は就寝することにしたのだ


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