百物語骨董店

「戯れは
これくらいにして

そろそろ…
お仕事をお願いしないと、ね」


そう言った店主は
店の中央に置かれた


大きな壺のフタを
取り去った


にっこりと
店主は微笑む



「さぁ

ショーの時間ですよ」




…バサバサ

バサバサバサ…



どこからともなく
羽音が聞こえはじめる



俺は得体のしれない恐怖を感じて
思わず後ずさった


「…!」


店主の姿が


足元から
消えていく…



消えた体は

黒い蝙蝠に姿を変えて
バサバサと


部屋中を飛び回る


「なんなんだ…

この店は…」



俺のつぶやきに
反応するように


背後の
フランス人形が
笑う



キャハ

キャハハハ…


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