百物語骨董店


「うわっ!」



むくむくと



人形は大きくなっていく

天井を突破らんばかりに巨大化している


ギャハハ…

ギャハハハ…


オマエナンカ
フミツブシテヤル…




人形の大きな
象のような足が


持ち上がる


ゴゴゴ…


ちっぽけな俺は
子兎のように


震えることしかできない

バサバサと
蝙蝠が視界を奪う



踏みつぶされる!!


そう思い目をつぶった時

ついに
頭だけになった
店主の


声が聞こえた



「目をお開けなさい
雷人君

これはこの店に置かれた物達、ツクモガミ達の


…単なる
悪夢なのですから」



俺は怖々目を開けると



ぱくっ

ぱくぱくっ


目の前に降りてくるはずの巨大な足の先が



まるで
消しゴムで消されたように


…なくなっていた




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