百物語骨董店
気がつくと


俺の膝の上に


桃色と白の
ツートーンカラーのボディ


鼻の長い
アリクイのような
動物が


ちょこん、と
乗っかっていた


むむ、可愛い…


「これは…?」



店主は言った


「私の飼っている

バク です

悪夢を食べて

夢の中を渡り歩きます」

バクは
つぶらな瞳で
俺を見ている


「いつも
この店の悪夢を食べてもらっているのですが


この間
夢の探し物をしてもらいましてね


少々疲れ気味なのですよ」


バクは俺を目掛けて飛んで来た蝙蝠を見ると


カメレオンのように長い舌を素早く出して



ぱくっ

ぱくぱくっ

…食べた


「…どうやら

バクは雷人君を気に入ったようです」


店主はもう
口しか残っていない


その口が動く


「貴方のお仕事は

疲れているバクのお手伝いです


お仕事道具を用意しておいたので

よろしく
お願いしますね」


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