ミケとポチ
金魚と花火
あれ以来、おしゃれにさらに一層気を遣い、サークル活動にも遊びにも勉強にも力を入れた。


何でも前向きに取り組んでいると、自然と充実した気分になった。


交友関係も一気に広がった。

「宅飲みするんだけど、怜子ちゃんもおいでよ。」

そんなありがたーいお誘いをいただくことも多くなった。



そして、ある夏の人生2度目のデートで、同じサークルの子に告白された。

ちょっと迷った。
前の子がまだ完全には忘れられていなかったから。

でも、優しそうな笑顔に惹かれて結局OKした。



人生初の彼氏は見た目どおり優しい人だった。

自分のくだらない話もうんうんと聞いてくれるし、声を荒げて怒鳴ることなんて一度もなかった。

自分はそんな彼の優しさにかなり甘えていたと思う。

彼とのんびりとした時間を過ごすのは楽しかった。

一緒に花火を見に行ったり、海に行ったり、買い物したり…いつか2人で旅行に行きたいね、とか言ったりして。


楽しかった。幸せだった。




でも…自分にはどこか冷めた気持ちがあった。
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