3年D組神様
4人のお兄さんが神の挨拶の前に静かに地面にひれ伏すと、
神はゆっくりオレに近づいて

「幸雄、カゴメカゴメはもう流行らねえよ。明日からだるまさんがころんだにしろ。」

といった。

「うるせええ!!お前こそなんだよ、いまさら戻ってきて。それもなに食ったらそんな容姿になるんだよ!!」

神はまたテヘっと笑った。
昔と変わらない。笑うと眼を細くして顔をくしゃくしゃにする。
くしゃくしゃにしたってその美貌は変わらないが。

「なんかね、オレの中の母さんの遺伝子が全力で親父の遺伝子が活性化するのを防いだらしいよ。オレは母さんの子だけどあのはげちゃびんの子じゃねえってな。」

小学校のころ、保護者の間で「天使」と呼ばれていた神は、
身長を60センチ伸ばし、ゆるいパーマの金髪と美しい青い瞳はそのままに、
よりバランスの取れた丹精な面構えでオレの前に再登場した。

「ってかお前小学校から身長のびてねえんじゃねえの?」
「伸びてるわ!!20センチは伸びたんじゃ!!」

小学校5年のときはおれのほうが10センチ近く神より大きかった。
オレは典型的なタイプである、他のやつより先に身長が伸び、
周りが伸びる思春期に止まってしまう駄目な成長ホルモンの持ち主の。
一方神は、ちびデブ禿という3大ブサイクの神器をひっさげている父親の遺伝子を
一切に封印して、美しい母の持つ遺伝子のみを誘発して、身長をのばし、
鼻を高くして青い眼をより深くその顔の底に沈ませた。
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