3年D組神様
久しぶりの再会にオレはなんだか気恥ずかしくなっていた。
あまりに神が、いや、子虎が綺麗というのか、美しくなってしまったからなのか。
それに比べ自分があまりに変化していなかったせいなのかはよくわからないが。
そんな俺の心境を知らない子虎は太陽に透けてキラキラ輝く髪を
風になびかせながら窓から校庭を見ていた。
「また日本に帰ってくるとは思わなかった。」神はぼそっと言った。
「え?なんで?」
「おれはなんだかんだ日本が好きじゃない気がしてたから。」
「そうだったのか?」
「いや、お前のことは好きだったよ。いや、好きと言うよりはしょうがねえなって感じか。」
「どんな感情だよ!しょうがねえな!って」
「わかんないけどね、さっきかごめかごめの鶴役やってるお前観て思い出した。
日本にはお前がいたなって」
「どういう意味だよ。」
「俺は、なんか敵意を見せられたらその敵意を出すやつがもう二度と敵意を出せなくなるまで打ちのめすタイプ。お前は敵意を向けられてもなにもなかったかのようなそぶりして、
受けた敵意は今日みたいな青空に返しちゃうタイプってこと」
「それって褒めてる?」
「だいぶ褒めてる。お前は神様みたいに誰かの悪意を浄化できるんだな、自分の中で」
まさか神様に、子虎に自分のことを神様といわれるなんておもっていなかったオレはどこをみていいのかわからなくなった。
「あの禿が日本に帰るって言ったときはすごい嫌だった。あいつの国に帰るのはあいつの支配下がより強まる気がして。日本に帰ればあいつは自分の家庭にも帰らなきゃいけなくなるから母さんは余計気を使わなきゃいけないし。」
「確かにそうだよな・・・お前のおふくろさんはあんなはげでも好きだもんな」
「そうなんだよなあ、まったく眼が悪いんだか脳の一部にお花畑があるんだか知らないけど。まあでも、今は帰ってきてよかったかもって思う。」
すごくうれしかったけど、上手く表現できずにオレは頭をボリボリかきながらうつむいてしまった。
「風呂はいってねえの?」子虎はクスクスと笑った。
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