3年D組神様
オレが言い終わるか言い終わらないかの一瞬に子虎はすっと振り返り

バットを振り下ろすおにいさんに強烈なボディーブローを一発かました。

おにいさんはふぁっと宙を舞い倒れこんだ。

まだ半眼のおにいさんに近づき

子虎の深く美しい瞳はいつもより冷ややかにそして強く輝いていた。

「今日は子虎先生の特別授業ですね」

「おにいさんには金属バットの正しい使い方教えてやるよ。」

おにいさんはびくっと体を震わせて後ろに後ずさりした。

しかし子虎の視線に貼り付けにされているみたいにゆっくりとしか動けなかった。

「金属バットは思いっきり振る。振る時は責任もって全力で振りぬけ。」

そういって子虎は落ちた金属バットを広いあげ空高く掲げた。そしてにやりと笑った。

「じゃなきゃ、ボールも打てねえし、人の頭の硬さも痛みもわかんねよ。」

おにいさんはぐっと眼をつぶり両腕で頭を抱え込んだ。

体はガタガタ震えて小さい子犬のようだった。オレから観てもひどく哀れだった。

そんなおにいさんに向けて子虎は勢いよくバットを振り下ろしぴたりと頭の上で止めた。

「本気で振りぬく勇気ないやつは金属ばっとなんて持つ資格ねえよ。」

一瞬ちびりそうなくらいかっこよかった。
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