沈黙の華
「実は・・・若がこの組に入ることになったのは、

ある事件の罪をかぶってのことなんですが・・・

それはご存知ですよね?」

岡野は半分涙目だった。

「ああ・・・組長から聞かされてる。

なんだか組の利害関係に関る奴を一掃した罪をかぶってくれれば

刑期が終わった後、組の幹部としてオレの人生を引き受けてくれるって

話だったからな。まあ、どんな奴かも知らされなかったし、

だたオレは指定された時間に渡されたピストル持って

交番に行っただけだけどな。」

「そう、その事件なんですけど、

実はその世間では若が一掃したことになってる連中ってのが、

うちの組に目をつけてた弁護士の家族だったんです。

なんでもその弁護士に前の組長が弱みを握られてたらしくて、

その始末を今の組長が命じられて、一家全員殺したんです。

そしてその罪を若にかぶってもらったって事件なんです」

「そうだったのか・・・っでその事件がどう関係あんだよ?」

「実は、その一家は4人家族だったんですけど、

遺体は3つしか出てこなかったんです。

もちろん、拳銃で撃ったあとに、家ごと燃やしちまったんで

遺体がなくなったのもわかるんですけど、

一人、長女の遺体だけ、体の一部も発見されなかったらしいんです。」

「ほお・・・・その霊かもしれないってか」

「一家に直接手を下したのは今の組長ですし、

その娘当時5歳くらいなんで、14年たった今なら年のころは19歳ごろ、

目撃されてる女の子にそう遠くもないんです・・・」

「なるほどね、確かに恨まれても仕方ないな」

こうして幽霊の身元が分ると、

なんだかオレはその幽霊が恐くなくなってしまった。

むしろ話してみたいくらいだった。
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