Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
「お前も苦労してきたんだな」
そう言いながら夜空を見上げる―。
その横顔はどこと無く不気味な笑みを浮かべているような気がしてならなかった。
「俺さ、お前が高校入学した時からずっと気になってたんだ。友達といてもつまんねぇ顔して外ばかり見てたよな」
剛が遠い昔を思い出すように話し始めた―。
「でも、なかなか話せなかった俺は副委員長が山崎に決まった時はガッツポーズを何度もきめたよ…案の定、クラスの何かある度にお前と話すようになって”守ってあげたい”って思ったんだ」
「つよし……」
さっきまでの不気味な笑みは消えてなくなり、いつもの優しい顔に戻っていた。
「水商売のバイトしてることも知ってたんだ。莉奈って子と携帯で話しているの聞いちゃってな。
卒業前、やけにお前明るくなっただろ?クラスの男どもがくぎづけだったんだぞ」
「……」
「男が出来たんだと思って山崎を諦めようとしたけど、また再会して気持ちが押さえ切れなくて…気が付いたらヤキモチ妬いてた」