Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
「いらっしゃいませ」
今夜も沢山の客が癒しを求めてAngelに足を踏み入れた。
そして…剛も―――。
「明日は麻里の誕生日だな」
「うん、もう十九歳か…早いよね」
剛があたしと付き合うようになって水割りからビールにトマトジュースを混ぜた”レッド アイ”を飲むようになっていた。
剛は野菜とビールが一度に体に入るからって言ってたけど、真っ赤に染まったグラスを舐めるように飲む姿はまるで…人間の血を好物とするドラキュラの様にも見えた。
「あぁ〜麻里の作る酒は絶品やな。明日は素敵な誕生日にしてあげるからな」
「うん…」
剛は彼氏なのに嬉しいとは思えないのは何故だろう……。
テーブルに置いてある硝子細工で作られた天使が 泣いているように見えた。