Mafia〜兄妹を越えた真実(ホント)の約束〜
「麻里、おはよ。また痣増えてる…。ねぇ、もうあたし見てられないよ。どうして別れないの?こんなの”愛”って呼べる?」
「……」
顎にできた赤く腫れた痣を莉奈の奮える手が触れた。
「麻里が彼を愛してるからって言うから目をつぶっていたけど…そうじゃないでしょ?本当は早く逃げたいんだよね」
「……」
俯くあたしの両肩を掴み何度も揺さ振る。
「あたしが彼に言う。彼のしている事は立派な犯罪よ。毎日尾行したり麻里の貯金勝手に引き下ろしたり暴言に暴力。恋人とは思えない!」
莉奈の拳に力が入り庶務課の机を何度も叩いた。
「莉奈…いいの。別れたらお兄ちゃんの事ばらされるから…」
「そんな…」
莉奈の小さな体が一気に床に屈み込む。
そんな優しい莉奈の気持ちだけで救われた気がした。
あたしは既に何度も剛に別れを告げていた。
でもその都度、お兄ちゃんの事をネタに脅されていたのだった。